NIPPON STEEL日鉄溶接工業株式会社

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技術情報溶接Q&A

Q024フラックス入りワイヤで、スラグ系とメタル系の違いについて

1)スラグ系ワイヤは、充填フラックス中にルチール等のスラグ形成剤を主とし、溶接時にスラグがビード表面を覆います。
2)メタル系ワイヤは充填フラックス中に鉄粉等の金属粉を主とし、スラグ形成剤が入っていないので溶接時にスラグ発生量がなく、ソリッドワイヤと同様の使い方ができます。
当社のスラグ系はSFワイヤシリーズで、メタル系はSMシリーズです。

・特徴、用途から見たワイヤの選び方(表1)
・突合せ溶接における板厚から見たワイヤの選び方(表2)
・また参考として作業能率比較を示します。(図1)

以上のようにフラックス入りワイヤは、充填するフラックスによりスラグ系とメタル系に分類されますが、使用性に特長がありますので、溶接しようとする鋼材の種類、溶接部に要求される品質、溶接施工条件、溶接コストなど総合的に検討して選定する必要があります。

ワイヤ選定のポイント

1.造船その他汎用全姿勢 → SF-1SF-1・EX
2.厚肉鉄骨の仕口 → SM-1、SM-20
3.一般鉄骨の仕口とすみ肉継手 → SM-1S、SM-20
4.造船・橋梁のすみ肉継手 → SM-1FSM-1F・EX

表1 特長、用途からみたワイヤの選び方
スラグ系
銘柄 溶接姿勢 JIS規格 用途 スラグ量 立向 水平すみ肉 多層溶接
ビード外観 耐ピット
SF-1 全姿勢 Z 3313 
YFW-C50DR
全般
SF-1・EX 全姿勢 Z 3313 
YFW-C50DR
低ヒューム
SF-3 全姿勢 Z 3313 
YFW-C502R
低温靭性
SF-60 全姿勢 Z 3313 
YFW-C60FR
橋梁、建築など
SM-570鋼
(備考)◎:非常に優れる ○:良い □:普通
 
メタル系
銘柄 溶接姿勢 JIS規格 用途 スラグ量 立向 水平すみ肉 多層
溶接
ビード
外観
耐ピット
SM-1 下向 Z 3313 
YFW-C50DM
鉄骨、建機の厚板 極少 - - -
SM-1S 下向、
水平すみ肉
Z 3313 
YFW-C50DM
鉄骨の中板 -
SM-1F 水平すみ肉
下向
Z 3313 
YFW-C50DM
造船、橋梁、鉄骨中板の無機ジンクプライマ
塗布材
-
SM-1F・EX 水平すみ肉
下向
Z 3313 
YFW-C50DM
低ヒューム -
SM-20 下向 Z 3313 
YFW-C50DM
各種分野の
高電流密度溶接
極少 - - -
(備考)◎:非常に優れる ○:良い □:普通
 
表2 突合せ溶接における板厚からみたワイヤの選び方
表2 突合せ溶接における板厚からみたワイヤの選び方 

図1 溶着速度結果の一例
図1 溶着速度結果の一例
 
①メタル系フラックス入りワイヤ 1.2mmΦ
②チタニヤ系フラックス入りワイヤ 1.2mmΦ
③ソリッドワイヤ 1.2mmΦ
④イルミナイト系溶接棒 6mmΦ
⑤イルミナイト系溶接棒 5mmΦ
⑥イルミナイト系溶接棒 4mmΦ