NIPPON STEEL日鉄溶接工業株式会社

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技術情報溶接Q&A

Q027ボンドフラックスを使用しての狭開先サブマージ溶接(SUBNAP法)でUT欠陥が多発して困っています。どのような対策がありますか?

欠陥としては融合不良、ブローホール、割れなどが考えられます。原因としては溶接条件や予後熱・パス間温度の管理がありますが、ここでは見落としがちのフラックスの管理について紹介します。下図にフラックスの放置時間と吸湿、拡散性水素量の関係を示します。フラックスは放置時間とともに吸湿して、それにつれて拡散性水素量も増加し、ブローホール、割れの要因となります。

図
フラックスの放置時間と吸湿、拡散性水素量の関係(NB-250H)

ボンドフラックスの使用に際しては次のような注意事項に従ってください。
●フラックスの乾燥について
乾燥温度および時間は、300~350℃で1時間半から2時間としてください。

●乾燥要領について
1.十分に乾燥させるため、フラックス層の厚さは35mm以下にしてください。
2.フラックスの挿入前に、乾燥炉の内壁や炉内構造物に付着している水分を完全に除去するため、乾燥炉を100~150℃に予熱してください。
3.温度計は、フラックス層の中心部に挿入し、その温度が300~500℃に達してから1.5~2時間乾燥してください。
4.炉内雰囲気はファンによって十分に撹拌し、所要温度の分布を均一にしてください。

●保温庫での一時保管について
乾燥フラックスは100~150℃に加熱した保温庫に一時保管してください。

●フラックスの使用について
1.乾燥フラックスは保温庫から小出しにし、4時間以内に使用してください。
2.保温庫が現場から遠い所に設置されている場合、取り出したフラックスは密封容器に入れて現場まで運んでください。
3.フラックスの品質劣化を避けるため、乾燥作業は3回以内にしてください。