NIPPON STEEL日鉄溶接工業株式会社

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技術情報溶接Q&A

Q031最近新聞等の紙面に知的財産権、また特許権とその権利侵害、プロパテントの用語がでてきますが、何のことか、どのような意味があるのか教えてください。

知的財産権とは  

一般に財産には土地、家屋のように形が有るもの、ソフトウェア、特許のように形が無いものがあり、それぞれ有体財産、無体財産と言われています。

一般に総称されている知的財産権は図1に示すように無体財産に含まれるものであり、特許権、実用新案権、意匠権および商標権の工業所有権、著作権、半導体集積回路の回路配置権を含みます。

これら知的財産権は、法律上、特許法等の工業所有権法および著作権法等によって保護の範囲、権利機関等が定められています。

図1
図1

特許権とは

特許制度の趣旨は、産業上の発明を出願という形式で公開することにより、社会貢献する一方、発明者に対し公開の代償として特許発明には一定期間独占的、排他的に特許発明を実施する権利を与え、保護することにあります。

特許法では、出願した発明が特許発明と認められると、特許権が与えられ、特許権者は特許発明についての独占的な実施権が認められます。その権利期間は、特許権が登録された日から始まり、特許出願から20年後に満了します。

発明、考案をなしてもそれが特許権等の権利を取っていないときは、他人に真似されたり、使用されても訴えることはできません。特許法上の保護を受けるためには、何よりもまず、特許出願をすることが必要です。

プロパテントとは

フロパテントとは、「特許重視」と訳されていますが、レーガン政権時代の国家戦略としての特許保護の拡大強化:Protect Patentを略した、あるいはPro=賛成する、ひいきするから由来する言葉とされているようです。

わが国特許庁も「科学技術創造立国」の実現に向けたプロパテント政策を表明しており、新たな「創造」、「権利設定」、「権利活用」からなる知的財産権に関する「知的創造サイクル」を強化・加速化することで、技術開発に要した投資の迅速かつ十分な回収を可能としつつ、創造型技術開発の促進、新規産業の創出を図ろうとしております。

特許権の活用と侵害について

特許権者は、特許発明を実施して独占的に製品・商品の製造・販売をすることができ、あるいはその権利を独占的に使用することができます。
 
したがって第三者が実施権を取得していないにもかかわらず、他人の特許発明を実施することは特許権侵害となります。最近は、特許権者からの差止請求(特許発明の実施を禁止)、多額の損害賠償請求等で、新聞紙上をにぎわすことが多くなりました。

今まで、特許侵害訴訟において損害額が少額すぎるなど特許権等の知的所有権の実質的な保護が不十分であったため、特許権の侵害に関わる損害賠償額の算定方式の見直し等を織り込んだ法改正(平成10.4)が行われ、侵害者の「侵害し得」が許されなくなるなど、特許権者に有利となりました。

当社の知的財産権について

当社は、溶接に関わる総合メーカーとして、溶接材料、溶接機器および溶接施工法を需要家の皆さんに提供することでわが国製造業の一翼を担ってまいりました。また、近年光通信用のマイクロ金属管光ファイバーの事業にも進出し、ユーザーの方々に好評を頂いております。

溶接総合事業関連では、(1)被覆アーク溶接棒、(2)ソリッドワイヤ、(3)フラックス入りワイヤ、(4)ペールパック、(5)裏当材、(6)溶接方法、(7)溶接機器、(8)プラズマ機器、施工法、(9)溶接材料の製造、他について300件の特許権、実用新案権を保有しています。

金属管光ファイバーについても、すでに40件におよぶ特許権を保有しています。
 
また、お客様に使用していただいている商品が当社製品であることをご理解いただくように、当社製品の銘柄には多くの商標権を得ております。現時点で、当社は60件以上の登録商標を保有しております。