NIPPON STEEL日鉄溶接工業株式会社

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技術情報溶接Q&A

Q039現状、被覆アーク溶接棒を使用していますが、炭酸ガスアーク溶接に切り替えた場合『すみ肉溶接の、脚長○mmで、溶接長○mの場合、溶接材料を何kgぐらい必要か』との質問をよく受けます。その算出方法について教えて下さい。

ふだん使い慣れている被覆アーク溶接棒で行う場合、大体の使用量は経験的に算出できると思いますが、目見当で算出した場合、実際の使用量との過不足が生じて、お困りになることがあるかと思います。このような事態を起こさないためには、しっかりと数値をつかんでおく必要があります。そこで、溶接継手形状から溶材使用量の算出を行って見ます。

ワイヤの使用量

ワイヤの使用量は、余盛り部分を含めた断面積(S)、継手長さ(L).溶着金属密度(p)※1溶着効率(n)※2により以下の式で算出します。

ワイヤの使用量算出式

※1 溶着金属密度(p);7.85(g/cm³)
※2 溶着効率(n)はワイヤの種類、シールドガス、溶接条件などの違いにより若干異なります。
 
表1

すみ肉溶接部の余盛率(図1)は溶接方法、ワイヤの種類、開先形状などの違いにより異なりますが、余盛率〔S2/(Sl+S2)〕を0.2(20%)とした場合、以下のとおりとなり、
0.2=S2/(S1+S2)、S2=0.25S1

脚長6mmのすみ肉溶接部の断面積Sは、以下のとおりとなります。
S = S1+S2=S1+0.25S1
  =(1+0.25)×(0.6×0.6÷2)
=0.225(cm²)

図1
 
フラックス入りワイヤの溶着効率(n)を88%、ソリッドワイヤを95%、手溶接棒を60%とした場合のワイヤ及び手溶接棒必要使用量(kg)を以下に示します。
a)フラックス入りワイヤの場合
 176.63(g/m)÷〔88(%)×0.01〕=0.201(kg/m)

b)ソリッドワイヤの場合
 176.63(g/m)÷〔95(%)×0.01〕=0.186(kg/m)

c)手溶接棒の場合
 溶接方法別の1m当たりの溶接材料必要量を表2に示します。
表2

ただし、溶着金属量、余盛量(20%)、溶着効率、密度など上記のように仮定しましたが、実際とは少々異なりますので若干多めに用意して下さい。
 
写真