NIPPON STEEL日鉄溶接工業株式会社

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技術情報溶接Q&A

Q049セラミックス系タブ材の熱伝導および熱拡散率の溶接品質への影響は?

セラミックス系タブ材はSiO₂の他、数種類の金属酸化物を主成分とする粉体にバインダーを加えて成型し、1,000℃以上の温度で焼成した耐火物のことと定義されています。また、セラミックス系タブ材の融点は、各メーカーによってタブ材成分が異なるため融点も異なります。一般的に市販されているセラミックス系タブ材の融点は、1,200 ~1,700℃くらいです。融点が1,430℃程度のセラミックス系タブ材の熱伝導度測定例としては、室温(26℃)で1.10kcal / m ・hr ・℃、800℃で1.27kcal / m ・hr ・℃があります。また、熱拡散率測定例としては、室温(26℃)で7.404 ×10 -3cm 2 /sec、800℃で5.120 ×10 -3cm 2 /secがあります。

しかし、この測定値はタブ材の気孔率値によって変化するものであり、タブ材成分、融点等のみでは判断しにくい面があります。また、適用にあたって溶接方法、溶接条件、板厚、開先形状等によってほぼ適正な範囲が考えられます。

セラミックス系タブ材の溶接方法としては、手溶接およびガスシールドアーク溶接が一般的に使用されています。これらの溶接方法において、熱伝導および熱拡散率が溶接品質に及ぼす影響として、一般的に常温での熱伝導度および熱拡散率が低い場合、例えばタブの材質がシリカ、ジルコニア、アルミナ、マグネシア系の耐火性溶剤で成形されていても溶接入熱と冷却速度および熱容量の関係からセラミックスタブの溶損が大きくなってビードの余盛が大となり溶接ビード外観が悪くなります。また、スラグ量が増えてスラグ巻き込み等の欠陥が発生しやすくなり、X線性能が悪くなります。

また、一般的に常温での熱伝導度および熱拡散率が高い場合、両端部、特に終端部の冷却速度が速すぎて割れが発生することがあり、溶接性能が悪くなります。