技術情報溶接Q&A
Q050オーステナイト系ステンレス鋼の溶接を初めて行います。炭素鋼と比べて、注意する点はありますか?
Point 1.
ステンレス鋼は、電気比抵抗が高いため、電流を低めにする必要があります。溶極式ガスシールドアーク溶接を例に取ります。ワイヤ溶融速度MRは、アーク熱による溶融とワイヤの抵抗発熱による溶融に整理され、次式のように示されます。ステンレス鋼は抵抗Rが高いため、炭素鋼と同じワイヤ溶融速度MRであっても、電流Iが低くなります。これを炭素鋼と同じ溶接電流に合わせると、溶融量過多となり、融合不良等の溶接欠陥の原因となります。また被覆アーク溶接棒では、心線の抵抗発熱により、棒焼けしやすいため、棒長が短いとともに、使用電流が低くなっています。MR = アーク熱による溶融+ ジュール熱による溶融 = aI + bRI2
(a,b:定数,I:溶接電流,R:ワイヤ突出し部の抵抗)
(a,b:定数,I:溶接電流,R:ワイヤ突出し部の抵抗)