NIPPON STEEL日鉄溶接工業株式会社

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技術情報溶接Q&A

F018造船パネルライン溶接設備

1. パネルラインのレイアウト

図1 SAWによる両面溶接を採用したパネルラインの例
図1 SAWによる両面溶接を採用したパネルラインの例
 
板継ぎ溶接の角変形を極力避けるため、サブマージアーク溶接(SAW)による両面溶接を採用した
ものです。
作業工程は、板継ぎ仮付け→SAW(1)→ 反転 → ガウジング → SAW(2)→ 反転→ロンジ配材・仮付け → ロンジ材溶接、となります。
この場合、ケミカルタンカー等の建造にも容易に対応できます。

図2 板継ぎ溶接にFCuBを採用したレイアウトの例
図2 板継ぎ溶接にFCuBを採用したレイアウトの例
(板の流れは縦流れ方式)

板継ぎ溶接にフラックス銅バッキング法(FCuB法)を採用、板流れは縦流れ方式とした例です。
本レイアウトの特徴は、短い工場にパネルラインとして必要な工程を工夫し、実機化したもので、作業工程は、板配材仮付け+ロンジ配材組立仮付け → FCuB片面溶接 →(板継ぎ検査)→ ロンジ材溶接となります。

2. おもな溶接自動化装置-その1

① 板継ぎ仮付け装置 1式
*継手部の位置調整装置を有し、上面目あわせ、仮付溶接を完全自動化しました。
*仮付溶接条件はプリセット方式です。
*要求能力に応じて仮付溶接機を複数台設置します。
*シーリング溶接を必要とする場合、連続溶接機能も付加できます。

② 両面板継溶接装置とパネル反転装置
*板継溶接装置(SAW)はプラズマガウジング機(NW-300ACG-Ⅱ)を搭載、裏面を自動ガウジングします。
*反転装置は、板をサンドウィッチ上に挟んで反転します。両側ともローラ定盤とし、板の自動搬入出ができます。反転ステージ内に上記板継装置が入り、溶接作業もできます。

③ ロンジ仮付け・本溶接装置 1式
 本装置は、ロンジの自動組立仮付け溶接と自動溶接の兼用型で、ロンジ材の所定端を位置決め配材仮付けした後、ロンジを所定の傾斜(0~±3度)に組立仮付け溶接、本溶接を行います。
この溶接ヘッドはCO₂5ヘッドツインシングルが同時に90°旋回できます。

3. おもな溶接自動化装置-その2

① FCuB片面溶接装置 1式
 本装置は、2台のバッキング装置と2電極SAW2ヘッドのガントリー台車で構成し、1走行同時2シーム溶接できるものです。

② ロンジ溶接装置 1式
 本装置は、いわゆる鵜飼式ラインウェルダーで、簡易溶接台車(キャリーボーイ・ミニⅢ)を8台設け、ロンジ4本を同時溶接できます。
門型台車に200Kgペールバック、ワイヤ送給装置などを搭載し、ケーブル類の引き回しの運搬に最小の人手でこなすことのできる省人・省力設備です。

4. おわりに

以上にご紹介した装置以外にも、パネルラインに最適な装置として、高速片面溶接、NH-HISAW法や、高速すみ肉溶接HS-MAG法を適用した高能率設備も、数多く実績があります。
今後も、当社ではユーザーにご協力させていただくとともに一体となって、ご満足いただけるような設備、システムを作ってまいりたいと考えております。

お問い合わせ等ございましたら、いつでも何なりと当方へご連絡くださいますよう、お願い申し上げます。