技術情報溶接Q&A
F078多目的小型アーク溶接ロボット NAVI-21MP
1. はじめに
現在市販されている簡易小型自動溶接台車は、大部分がオシレート機能を搭載した自動溶接機となっています。このため、当社では溶接線の教示記憶機能を搭載した小型アーク溶接ロボットNAVI-21を開発・商品化し、さまざまな産業分野で溶接自動化に貢献してきました。今回、より広い分野での適用を目的に溶接施工条件の自動変更機能などを追加した小型アーク溶接ロボットNAVI-21MPの概要を紹介します。2. NAVI-21MPの全体構成
NAVI-21MPの全体構成、全体写真を、図1・2に示します。ロボット本体、ロボットコントローラとも重量が約11㎏と小型軽量ですので、ハンドリングが容易に行えます。また操作ペンダントの表示部が標準仕様のNAVI-21より大きくなり設定値,溶接条件の表示,溶接中の電流・電圧モニタが見やすくなりました。
図1 NAVI-21MPの全体構成

図2 NAVI-21MP全体写真
3. NAVI-21MPの機能と特長
NAVI-21MPの主な機能と特長を表1に示します。
表1 NAVI-21MP特長と機能
機能 | 特長 | 用途/適用 | |
① | 溶接線の教示記憶 | 溶接前にトーチを移動させて溶接位置を記憶させるので、溶接 線とレールを平行にセットする必要がありません。 |
各種部材への適用が可能 |
② | 溶接施工条件の自動変更 | 1つの溶接線の中で複数の溶接施工条件設定が可能で、溶接 中は自動的に切り替わります。 (図3 溶接施工条件の自動変更例参照) |
鋼管、曲面溶接で有効 |
③ | さまざまなウィービング パターンの適用 |
通常の単振動ウィービング以外に図4に示すV型ウィービング, 台形ウィービング,斜めウィービングの設定が可能です。 |
ソリッドワイヤによる立向溶接では、V型ウィービングが 有効 |
④ | ギャップ変動への対応 | 溶接線の教示の際にギャップの変化値を入力することで、溶接 中にウィービング幅,溶接速度を自動で補正します。 |
ギャップ変動のある継手溶接に有効 |
⑤ | 溶接条件の オフライン作成・編集 |
パソコンで溶接施工条件をオフラインで作成、編集することが できます。(図5 オフライン編集画面の抜粋参照) |
パソコンで溶接条件を管理するのに有効 |
⑥ | 溶接速度の自動演算 | 鋼管などの溶接の際、鋼管径とレール径を設定することにより、 鋼管表面での溶接速度に台車速度を自動的に変換します。 |
鋼管溶接で有効 |
⑦ | 溶接施工条件の リアルタイム修正 |
設定した施工条件は、溶接中に操作ペンダントでリアルタイム に修正ができます。 |
ルートギャップ変動、狙い位置の修正に有効 |


図5 オフライン編集画面の抜粋
4. 溶接例
次にNAVI-21MPを使用した溶接例を3例示します。●4.1 鋼管上進溶接例

図6 鋼管溶接例
●4.2 高張力鋼の立向上進溶接例

図7 高張力鋼の立向上進溶接例
●4.3 高張力鋼の立向上進溶接例

図8 ステンレス鋼の立向上進溶接例